屋内外装飾やパネルなど、ディスプレイや看板の制作においては高性能なインクジェットプリンターの存在が不可欠です。しかし、プリンターやインクにも様々な種類があるため、自社で制作するディスプレイ製品に合うのはどれなのか迷ってしまう場合もあるでしょう。こちらでは、様々な種類のあるインクジェットプリンターの中でも、環境に優しいと話題のレジンインクをピックアップ。レジンインクの基礎知識や特徴について、詳しくご紹介いたします。
【プリンター】レジンインクの基礎知識
「レジンインク」と聞くと、実験用で使われる3Dレジンインクプリンターをイメージする方もいらっしゃるかと思いますが、こちらで紹介するレジンインクは実験用で使われる3Dレジンインクとは異なり、水性顔料インクの中に樹脂粒子を添加したインクのことです。屋外用のディスプレイや看板には、溶剤インクを使った大判プリントが広く使用されています。そのような中で、レジンインクは溶剤インクのデメリット面を補えると話題を集めていることをご存知でしょうか。こちらでは、レジンインクが開発された背景や溶剤インクとの違い、レジンインクのベースとなる水性顔料にフォーカスをあててご紹介いたします。
【プリンター】レジンインクとは
溶剤インクのデメリット面を克服するために開発されたといっても過言ではないレジンインク。こちらでは、開発のきっかけや溶剤インクとの違いについてご紹介いたします。
◇レジンインクが開発された背景とは?
屋内外装飾や大型パネルの制作には、溶剤インクを使ったデジタル印刷が広く用いられています。しかし、溶剤インクにはVOC(揮発性有機化合物)が多く含まれており、人体に悪い影響を与えかねない点が課題であるとされてきました。そこで、多くの電機メーカーでは、溶剤インクが得意とする素材にも印刷できる水性顔料インクの開発に力を入れています。レジンインクは、水性顔料インクの中に樹脂粒子を添加して塗膜を形成。プラスチックをはじめとした非浸透基材にも印刷ができる水性インクとなっています。
◇速乾性に優れたインク
インクジェット出力の大判プリントでは、印刷後にインクが乾かず、乾燥させる時間が必要なことも少なくありません。レジンインクは速乾性に優れており、印刷後に乾燥させる必要がない点が大きなメリットです。印刷後は、乾燥時間なしですぐに加工することができるため、納期の短縮にもつながります。
◇VOC(揮発性有機化合物)の含有量が少ない
レジンインクの特徴には、人体に影響を及ぼすVOCの含有量が少量であることも挙げられます。屋外の装飾や看板などで使用される溶剤インクは、このVOCを多く含んでおり、健康被害や排気対策が問題となっていました。レジンインクは、溶剤インクと比較して環境にも優しいインクであるといえるでしょう。
◇様々な素材に印刷可能
溶剤インクは、プラスチックの塩ビや横断幕に使われるターポリンなどへの印刷を主としてきました。レジンインクは、これらの素材への印刷はもちろん、壁紙やテキスタイル、普通紙など様々な素材にも印刷することが可能です。そのため、屋外のディスプレイや看板だけでなく、屋内の装飾ディスプレイにも幅広く活用できます。また、インクジェット出力では難しい透明のPET素材に印刷できる点も見逃せません。
◇技術の向上により高画質に
水性レジンインクは、溶剤インクと比較して、画質が劣るといわれてきました。しかし、各メーカーの開発者による研究の成果により、高画質化に成功。幅広い色域のある印刷が可能となったのです。
【レジンインクプリンター】水性顔料とは
水性顔料は、水分が印刷基材に浸透するため、耐水性があります。こちらでは、レジンインクのベースとなる水性顔料インクの特徴についてご説明いたします。
◇使用用途
水性顔料インクは、主に屋内外に飾るポスターやパネルなどの印刷に使われています。刺激臭のする溶剤インクと比べると臭いが少ない点がメリットです。そのため、屋外に限らず室内のディスプレイなどにも多く使用されています。
◇適している印刷素材
適している主な素材は、光沢紙やマットコート紙です。また、和紙にも印刷可能です。また、レジンインクは熱で固着するため、インクジェット専用紙でなくとも印刷できます。
◇画質
水性顔料インクは滲みや色ムラが少なく、色鮮やかで高画質な印刷が可能です。立体感のある綺麗な仕上がりとなるため、宣伝用のグラフィック印刷や大判ポスターにもよく用いられています。
◇耐水性・耐光性
水性のインクですが、水や溶剤に強いため、耐水性があります。耐光性もあるので、日差しにあたっても変色しにくい点が特徴です。
◇耐久性
溶剤インクと比較すると、摩擦に弱く耐久性には劣ります。そのため、屋外での長期使用はあまりおすすめできません。
◇環境への優しさ
水性顔料インクは、溶剤インクと比べるとVOCをはじめとした有害物質の含有量が少ない点もポイントです。飲食店でのディスプレイや、多くの人が集まる屋内施設などでも安心して使用できます。
水性レジンインクのベースとなる水性顔料インクは、高画質で、ある程度耐水性や耐光性のあるインクです。しかし、摩擦には弱く、印刷できる素材も限られている点がデメリット。ポスターやパネルの制作などには利用できますが、溶剤インクが得意とするプラスチック基材への印刷には向いていません。インクジェットプリンターを販売する多くのメーカーでは、非浸透基材にも印刷でき、環境にも優しいインクの開発に力を注いできました。水性レジンインクは、いわば、溶剤インクのデメリット面を補い、水性顔料インクのメリット面を引き継いだインクだといえます。環境に優しく、安全性にも優れており、水性顔料よりも多くの印刷素材に使用できる点がポイントです。
【プリンター】レジンインクの特徴について
ここまで、レジンインクの基礎知識やベースとなる水性顔料インクについてご紹介してきました。レジンインクは、高画質で環境にも優しく、プラスチックをはじめとした非浸透基材にも使用できる点がポイントです。ここからは、レジンインクの特徴として注目されている環境への優しさをピックアップ。水性レジンインクとそのほかのインクとの違いも併せてご紹介いたします。
【プリンター】レジンインクは環境に優しい
環境に優しい水性顔料インクをベースとしたレジンインク。屋外のディスプレイや看板に使われている溶剤インクには、VOC(揮発性有機化合物)が多く含有されています。そもそもVOCはどのような点が危険だといわれているのでしょうか。
◇VOCとは?
大気汚染問題でしばしば話題に上ることも多いVOC。VOCは、揮発性があり大気中でガス状に変化する有機化合物を総称したものの呼び名です。VOCに含まれている物質には、トルエン・キシレン・酢酸エチルなどがあります。自動車の排気ガスや工場から排出される大気汚染物質もこれにあたるため、法律でも様々な規制制度が設けられているのが特徴です。
◇VOCが体に与える影響とは
VOCは大気や土壌、地下水などの汚染につながるだけでなく、人体にも悪影響を及ぼすことが問題となっています。VOCには呼吸器疾患などを引き起こす有害物質が含まれており、喉の痛みや咳などを誘発することもあるのです。そのため、インクを大量に使用する印刷業界でも、VOCの排出規制や削減への取り組みが課題となっています。
◇レジンインクは水性顔料ベースなのでVOCが少ない
溶剤インクには有機溶剤が含まれているため、インクが乾く段階で大気中にVOCが放出されてしまいます。水性顔料インクは、インクの希釈に有機溶剤ではなく水を使用しているため、環境に優しい点が特徴です。環境への優しさを考えるのであれば、水性インクをはじめとした、有機溶剤を使用していないインクの使用が望ましいでしょう。
◇開発メーカーや使用する企業にも環境への配慮が求められている
開発メーカーやユーザーである企業を含め、サインディスプレイ業界全体に、環境への優しさに配慮した取り組みが求められています。また、公共施設でのディスプレイでは、人体への影響が懸念されている溶剤インクの使用が難しい場合もあります。ディスプレイや看板の制作過程だけでなく、実際に使用される場所での影響も考慮して、使用するインクを選ぶことが大切です。
【プリンター】レジンインクとの比較
インクジェットプリンターのインクには、レジンインクや溶剤インク以外にも様々な種類があります。こちらでは、それぞれのインクについて、特徴やレジンインクとの違いを見ていきましょう。
◇水性染料インク
レジンインクと同じ水性のインクです。水性顔料インクと同様に高画質で発色も鮮やか。水や溶剤に溶ける性質があり、耐光性に乏しいのが特徴です。エアコンの影響も受けやすく耐久性が弱いため、屋内で短期間使用するパネルやポップに使われています。
◇ラテックスインク
水やポリマー、顔料などで構成された水性顔料インクです。水性ですが溶剤インクと同じような耐水性を有しています。ラテックスインクは水性なので、VOCの含有量が少ない点も特徴。また、レジンインクと同様に、優れた速乾性を発揮しています。耐候性があり、屋外でも長期間使用が可能です。溶剤インクが得意とする塩ビやターポリン以外に、合成紙やテキスタイルなど幅広い素材に印刷できます。
◇水性昇華インク
主に、衣料用のテキスタイルプリントに使用されているインクです。ダイレクト捺染方式と熱転写方式の2種類あります。ダイレクト昇華方式は、転写の工程がなく、溶剤インクを使わない環境に優しいインクです。転写方式は、発色が美しく、様々な布製品に使われています。
◇UVインク
紫外線により硬化して、インクが定着する性質を持ちます。UV光によりすぐに固まるため、速乾性がある点もポイント。厚みがある素材にも印刷可能です。開発メーカーによって異なりますが、特殊なインクを搭載できるプリンターも少なくありません。VOCの発生は抑えられますが、未硬化の場合臭いがあり、有害性が指摘されることもあります。また、場合によってはインク割れを起こすこともあるので注意が必要です。
◇低溶剤インク
刺激臭があり排気対策が必要な溶剤インクと比べて、低臭気で低溶剤仕様のインクです。溶剤インクよりも若干擦過性に劣りますが、屋外で長期間使用できるため、看板やカーラッピングにも利用できるのが特徴です。
レジンインクプリンターをお探しの方はMastermindにご相談を
インクジェットプリンターの導入をお考えの場合、自社の製品に合うものかどうかということはもちろん、環境への配慮も大きなポイントとなります。レジンインクプリンターは、ディスプレイや看板の制作において、様々な素材に印刷できる点がメリットです。また、水性顔料インクを使用しているため、環境や人体への影響も抑えることができます。まさに、これからの時代におすすめできるプリンターといえるでしょう。レジンインクプリンターの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にMastermindまでお尋ねください。特殊プリンターの開発・製造・販売およびメンテナンスを行っております。